本醸造醤油作り

おいしくできるかどうかは別として、醤油も自分で作れます!
2007年、醤油師岩崎さんの指導の下、仲間で一斗分の麹と塩を購入して仕込んだのが初体験。しばらくは麹と塩を購入して仕込んで、岩崎さんに絞っていただいてました。

自家製の豆と麦で麹を作りたいという気持ちが膨らみ、2010年に麹作りにチャレンジ!豆を煮るための大釜がなく、家中の鍋を総動員して煮たり、納豆菌を出したりといくつかの失敗もありましたが、なんとか麹が出来上がり仕込むことができました。

それからボチボチと継続し、なんとか醤油麹作りも慣れてきました。
今年はかふぇで仕込みの体験会を実施します(5月6日~8日)。

原料

大豆(どうや産) 5㎏
全粒強力粉(長野県産)5㎏
種麹(小諸市・こうじや産) 10g

塩(シママース) 3.3kg

水(弁天の清水) 12リットル

①大豆の準備

仕込みの前日、よく洗ってたっぷりの水(3倍以上)に浸します。
気温が低い時期はお昼ごろまでに浸すようにしています。

②小麦の焙煎

醤油麹には、玄麦(げんばく)と呼ばれる粒のままの麦を、煎ってから割ったものを使います。
実はこれ、とっても大事な作業なんです。
美味しい醤油を作るためには、良い麹ができるかどうかがカギ。
小麦を煎って割ることで、小麦のデンプンがα化(アルファー化:デンプンを加熱し糊化した状態)され、麹菌が持つアミラーゼによって分解されやすくなり、しっかりブドウ糖が生成されます。
このブドウ糖により微生物たちが活動し、醤油が発酵していくわけです。

今回は玄麦ではなく、全粒強力粉を使いますが、しっかりと焙煎しますよ!

③大豆を蒸す

水で戻した大豆、しっかりと水を切ってセイロで蒸します。
蒸し上がりの時間と柔らかさに差が出るというデメリットがありますが、茹でる方法だと煮えるまで時間がかかるのと、茹でたあと水を切るのが大変なので、どうやでは蒸しています。

庭にかまどを設置し、大豆を2つのセイロに分けて載せます。
加熱時間は3時間。
同時に麹室用に炭もおこします。

④麹室の準備

かまどで炭に火がついたら、麹室の火鉢にセットします。
室の目標温度は30度、外気温により炭の量を調節します。
炭はオガ炭を使っています。備長炭のように長時間は持ちませんが、火が付きやすくて扱いやすいのとお値段が安いので。

⑤種切り

焙煎した小麦に、種麹をよく混ぜておきます。
蒸し上がった大豆を広げ、水分を飛ばしながら温度を下げます。
手が入る温度(40度ぐらい)になったら、小麦をまぶしてよく混ぜます。室に入れたとき、豆どうしがくっつくと納豆菌が出やすいので、大豆一粒一粒に小麦をコーティングするイメージで。

温度を下げすぎると麹の動きが鈍くなるので、暖かいうち(30度ぐらい)に箱に入れます。
1セイロ分を1箱に入れ、布巾を被せます。

⑥入室

米糀を作るときは温度と湿度が必要ですが、醤油麹の場合は湿度は厳禁なので室の戸を解放して管理します。
時期的にも虫が寄ってくるので、網でブロック。
初日は夕方まで30度をキープ、夕方ぐらいから麹からの発熱が始まるので、夕方以降は加温なしで。
温度が上がりすぎると納豆菌が出るので、加温は控えめです。

⑦手入れ

2日目の朝、固まりをほぐして酸素を供給します。
温度が上がりすぎないよう、箱を増やして(1セイロ分を2箱に分けて)再び室へ入れます。

⑧その後の管理

麹からの発熱が激しくなるので、加温はせずに管理します。
日中室温が25度を超える場合は、麹の温度を確認し、30度以上あったら手入れをして温度を下げます。
手入れをするたび麹がダメージを受けるので、なるべく手を入れずにおきたいところ。
日が落ちれば気温が下がるので、夜間は上がりすぎの心配はないので、朝を待つのみ。

⑨出麹

ふわっと緑の麹菌が舞い上がったら成功です。
納豆が出るとべちゃっとして糸を引きますが、醤油にはなりますのでご安心を。

⑩仕込み

樽にビニール袋を二重に置き、麹、塩を入れてよく混ぜ、水を入れます(写真は悪い例、ちゃんと塩をほぐして入れましょう)。
内側のビニール袋をゴムで縛り、蓋をして三週間ほど冷暗所に保管します。

⑪寝かせる

冷暗所で三週間経過後は、直射日光の当たらない暖かい場所へ移動、品温を上げると発酵が始まります。時々攪拌しながら2年寝かせます。

⑫絞る

プロは船と呼ばれる専用の箱を使って絞りますが、道具がないので。底に穴をあけた漬物桶を使って絞ります。

もろみに沸騰したお湯を少し混ぜ(ここは適当)、絞りやすくします。

麻の袋にもろみを入れ、ジャバラに折りたたんで漬物桶に入れます。漬物用の板を敷き、漬物用の重しを載せてぽったんぽったんと絞ります。

絞った醤油をそのまま使うこともできますが、長期に使用する場合は火入れをします。

大きめの鍋に醤油を入れ、沸騰するまで強火で加熱。沸騰したら火を弱めてしばらく加温。この間、灰汁が出るのですくいます。

火入れ時間は量にもよりますが、だいたい2リットルで40分ぐらい。香ばしい香りがしたら火を止めます。

鍋のまま冷暗所で一晩おくと、オリが下に沈むので、上澄みとオリを分けてビンへ。

上澄みは普通の醤油として使い、オリは煮物や漬物に使っています。
忘れてはいけないのが絞りカス。酒の肴としてそのままいただくのもよし、漬物床として野菜や魚や肉をつけてもよし。鶏の胸肉が一晩でハムになります!

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