「大宇宙に存在するすべてのものは回転し、循環している」この法則に沿ったシンプルな農法が「循環農法」です。
圃場での体験会はもちろん、循環農法で作った作物を使った加工品作りや試食会などを予定しています。
農法について話を、お茶を飲みながらたのしくしていきたいと思います。

循環農法の稲作
大きな特徴はズバリ「苗代で大きく仕立てた苗を植える」です。我が家では昔ながらの水苗代で分けつが始まる頃まで育て、30cm間隔に1本ずつ手で植えています。
田植え直後から深水管理をすることで初期の草を抑えるとともに、ミネラルをたっぷりと田んぼ全体に行き渡らせ、稲が健やかに育つ環境を整えます。
田植えから2週間後から約一月、田車での除草を終えると、あとは水の管理のみ。
稲刈り直前まで毎日たっぷり水を回すと、多いものでは50本に分けつし(品種により差があります)、秋にはたくさんの収穫をいただきます。
楽しくて多収穫な循環の稲作。田んぼもとても美しいです。
かふぇではこのお米を使って米麹を作り味噌を仕込んだり、お餅をついたり、おこわを炊いたり。お茶請けで振る舞っています。

水苗代で大きな苗を仕立てるのがポイント。
30センチ間隔に1本ずつ。田植え直後から深水管理。
根付きを待って、田車で草取り。
1本で植えた稲も、収穫時にはこの分けつ!

米糀
子供の頃、このあたりではどの家庭でも味噌を仕込んでいました。
地区の糀室で糀を出し、自家製の大豆で仕込む味噌は絶品で、幼心にも強烈なイメージとして残っていて「いつか自分で糀を作りたい」と思っていました。
実現したのは10年前。当初は座敷で仕込んでいましたが、数年前に地区の糀室を使わせてもらえることになり、昔ながらの糀作りを習いました。
残念ながら地区の室は利用者が居なくなり使えなくなってしまいましたが、昨年かふぇに簡易室を設置し、以後はそこで出しています。
仕込みレッスンも実施しておりますので、ぜひご参加ください。

火鉢に火をおこし、水をはった鍋をのせ、室の温度と湿度を管理します。
入室から一晩たったら、手入れをします。
塊をほぐして空気を含ませます。
二日目の朝、出糀となります。

味噌
どうやの味噌は米も大豆も循環農法産。素材がおいしいので、できあがった味噌がおいしくないわけがありません。
一度食べるとヤミツキになる、甘くて香りが高いお味噌です。
仕込みは毎年3月、かふぇで行います。
仕込みレッスンも実施しておりますので、ぜひご参加ください。

使うのは「コウジイラズ」。糀がなくても甘いことからその名がついたという。青い色のきれいな大豆。大鍋で8時間ほどゆっくり煮ます。
良くさました豆を挽き、塩きり麹と混ぜます。なかなか力のいる作業です。よく捏ねたら丸い玉を作り、桶に投げ入れて仕込みます。
完成した味噌はとても甘く、コクもあるので、野菜と酢を合わせるだけでおいしい漬物になります。写真は割り干し大根の酢味噌和えです。

醤油
味噌に続き、2007年から醤油作りを始めました。
最初は麹を買って仕込んだのですが、2010年に麹仕込みにチャレンジ。
細かい失敗はありましたが、醤油風の調味料としてはおいしいものができました。
今では、「いちおう醤油」ぐらいまでにはなったでしょうか。
醤油だけでなく、絞りかすも漬物床として使ったりそのまま食べたり。
大豆も小麦も循環農法産ですから、あまさずいただきます。
体験会も実施しておりますので、ぜひご参加ください。

たっぷり水を吸わせた大豆をセイロで蒸し、種麹を混ぜた小麦と合わせます。箱に入れて室で二晩管理。
完成した麹。緑の粉を吹く、良い麹ができました。水と塩と混ぜ、1年間熟成します。
絞り方で味が変わってしまうと言われている醤油。穴を開けた漬物桶を使って絞っています。

梅干し
この辺りでは「カリカリ梅」が主流で、高校生になるまでねっとりした梅干しを食べたことがありませんでした。
結婚後、主人が梅干し好きだったので手作りしましたが、この辺りで良く使われる「豊後」はねっとりした梅干しにはなりませんでした。
紀州から南高梅を取り寄せて作るようになり、その香りとおいしさにはびっくり。
我が家でも栽培できないかと、送っていただいた梅の種から育て、5年目から収穫できるようになりました。
収穫時期になったら梅の木の下に藁を敷き、毎日落ちた実を拾って漬けていきます。
この方法だと重しをしなくても梅酢が上がり、ふっくらやわらかい梅干しができます。
梅の木が家にあるからこその、贅沢な漬け方です。

藁を敷き、熟して木から落ちた実を拾って漬けます。拾った梅の重量の20%の塩で漬け込みます。
完熟した梅は、重しをしなくても梅酢があがるので、ふっくらした漬けあがりに。
土用に干したら完成。